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くまもと食・農ネットワークリレーコラム

くまもと食・農ネットワーク運営委員リレーコラム【第52回:片野委員】

2013年2月12日(火)

 

 自然農法稲作栽培技術を作り上げるために、昭和59年3月、岩手大学から東海大学に転勤しました。幸いにも農学部から25分、旧久木野村で帆足洋子さんと甲斐八千代さんが自然農法稲作を実施しており、お二人の12水田で栽培されていた稲の生育、収量、器官別乾物重、根系形態、73品種の栽培試験、水田で発生する雑草、土壌化学性など専攻学生諸君と総力を挙げて調査研究を始めました。学生諸君は調査法を教えるとすぐに自力で調査ができるようになるものですから、私はお二人の農家と調査水田を回りながらダべリングです。

 

 日陰の小さな水田の稲に葉イモチ病が発生していました。農薬を使わない帆足さんに「イモチが発生したらどうしますか?」と尋ねると、稲さんに向かって「イモチに負くるな」と声をかける、すると、イモチ病が治っていくというのです。その頃、新潟県佐渡の土屋スエさんも稲さんに頻繁に言葉かけをしており、スエさんが稲に言葉をかけると稲は風もないのにザワザワと葉を揺らすことも伝え聞いていました。

 

 昭和55年(1980年)に自然農法稲作に出会い、これが縁になって、昭和56年夏には玄米正食に出会い、生まれて初めて玄米を食べ、百冊を超える書物を読破し、57年度からは岩手県下で食の講演依頼が寄せられるようになっていました。自然農法関係団体からも「自然農法・自然食」の講演依頼があり、59年10月、北海道北見市民会館、千人を超える大講演会に招かれました。「食生活は難しい」と北見市長さんが来賓挨拶したものですから、「食は難しくありません、口から入れる食べ物は予算、尻から出るウンコは決算、一日にバナナウンコ2本出るような食生活をすることが本当の二本人になる道、落語家は30cmのバナナを尺糞と名付けました」と。帆足さんや土屋さんの話もしました。皆さん、もう大喜びになりました。

 

 終了後、百名を超す裏方さんたちとの打ち上げ懇親会になりました。大勢の方々から酒杯を頂戴しましたが、原田良策というお爺さんが近寄ってきました。「先生、今年俺は大発見した」というのです。北見地方の白菜畑では夜盗虫が大発生し、農薬を散布する農家も自然農法も大打撃、ほとんど収穫できなかったそうです。良策さんも困り果てました。良策さんは、白菜畑に出かけ見えない夜盗虫に向かって「夜盗虫なぁ、おまえも生きる権利があるから白菜を食べても良い。しかし、この白菜は札幌や旭川で病気を抱えた人々が待っていることも考えておくれ。食べるなとは言わない、しかし、全部食うな」と声をかけました。するとどうでしょう、翌日、白菜畑に足を運ぶと、ある株は夜盗虫でいっぱい、しかし、隣の株には一匹もいません。白菜を出荷できたのです。また、ある年、大豆を蒔きましたが、鳩がやってきて全部食べてしまったそうです。でも、良策さんは「鳩が喜んでいる」とガッカリしませんでした。翌年、二年分の大豆の収穫をいただけたのです。

 

 「原田良策と夜盗虫、全部食うな」の話を全国各地でお話ししました。家庭菜園でトマト作りを楽しんでいた人、見知らぬ害虫に葉っぱが次々に食べられていきました。そこでこの虫たちに向かって「君たちも生きる権利があるから食べても良い。だが、私たちもトマトを食べたい。だから、この線からこの線までは君たち、この線からは人間様」と一言。翌朝見ると、害虫たちは言われた場所に移動、トマトがしっかり実ったのです。これは本当に起こった出来事、事実です。

 

 昭和60年、20品種の栽培試験でお世話になった大分県庄内町の佐藤光磨さんは、毎朝、水を見に田んぼに出かけますが、水口しか見ません。秋になると水口側の稲は良くできるのに反対側の出来がよくありません。近所の古老から田んぼはぐるりと回らなければならないと諭され、廻るようにしたところ今度は田んぼ全体の出来がよくなりました。

 

 自然農法では農薬と化学肥料や有機質肥料も使いません。しかし、私たちには、「言葉の肥料」、「足音の肥料」があるではないかと教えられたのです。こうしたことを私は当時、体操競技最大難度で親しまれた言葉を拝借して「ウルトラC」と名付けたのです。その後も「ウルトラC」との出会いが続いています。

 

 2013年、平成25年、身の回りにあるさまざまのモノたちに眼を配り、「ウルトラC」を発見してみてはいかがでしょうか。

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