
野菜には、温度が高い方が生育がよいものがあります。露地栽培では、栽培できる期間が限定されるため、ビニル等のフィルム資材で土壌表面を覆い地温を高めたり、作物を覆うことにより気温を高めて栽培期間を早めたり、遅らすことができます。
露地栽培、マルチ栽培、べたがけ栽培、トンネル栽培、ハウス栽培と技術が高度化するにしたがって生産は安定しますが、経費は高くなります。また、これらの資材を組み合わせた様々な栽培法があります。
生産資材は、保温やマルチ、遮光、防虫等の目的を持って使用されます。

【図9】いろいろな栽培法
【表7】生産資材と野菜栽培上の効果
栽培上の効果 |
被覆資材 |
遮光資材 |
マルチ資材 |
べたがけ資材 |
生育促進 |
保温 |
○ |
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○ |
○ |
地温上昇 |
○ |
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○ |
○ |
生育の安定 |
地温抑制 |
○ |
○ |
○ |
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防虫 |
○ |
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○ |
○ |
雑草防除 |
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○ |
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土壌水分調整 |
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○ |
○ |
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保温用資材は、作物をフィルムで覆う(トンネルまたはハウスとして利用)ことにより温度を確保して生育を促進させるために使用します。多くのものが市販されていますが一般的に使用するものにビニルフィルム(農ビ、農業用塩化ビニルフィルム)、ポリフィルム(農ポリ、農業用ポリエチレンフィルム)があります。日中はトンネル内等が高温になりますので裾を開けるなど換気(温度調節)が必要です。
使用後は、ほ場で焼却せず適正に処分して下さい。
マルチ資材は、地面を直接おおい地温や土壌水分の調節、病虫害・雑草の防除、果実の着色促進などに利用されます。使用目的によって使い分けます。
保温資材と同様に、使用後はほ場で焼却せず適正に処分して下さい。
【表8】マルチ資材の効果と種類
地温上昇 |
透明マルチ>黒マルチ |
地温上昇抑制 |
白黒ダブルマルチ、有孔マルチ |
害虫防除 |
シルバーマルチ、白マルチ |
雑草防除 |
黒マルチ、白黒ダブルマルチ、シルバーマルチ等 |
果実の着色促進 |
シルバーマルチ、白マルチ等 |
日射を遮って作物の生育に適した環境(光の強さ、温度)を作りだすため行います。 資材には、寒冷紗やネット等があり、色には白、黒、シルバーなどがあります。ネット、不織布はその間隙の大小によって遮光率が異なります。
春から秋にかけては、害虫の多い時期です。寒冷紗や防虫ネット、べたがけ資材等をトンネル状に被覆し、裾を土などで密閉しておくと害虫の寄生や食害を防ぐことができます。