先輩移住者の声 天草市

天草市高浜地区 黒沢三穂さん(37歳)

家族構成:ご夫婦、中学1年生、小学生5年生、3歳、4ヶ月の4人の男の子

移住歴:より、5年超

さかのぼること約5年前、子どもたちに現地で採れるものをそのまま食べさせてあげられるような生活をしたい、と移住を決意した黒沢さんご夫婦。首都圏での生活を離れ、すぐ近くに海を臨む天草市の高浜地区で、4人のお子さんと心豊かな日々を過ごす奥様の三穂さんに今の暮らしぶりについてお話を伺いました。

環境も良く暮らしやすい天草市へ移住

東日本大震災を機に、子どもたちに食べさせるものについて考えるようになったという三穂さん。いくつかの候補地の中から、庭師であるご主人の仕事のこと、これからの生活のことを考え天草市に絞ると、市のホームページで空き家バンクの情報を検索する日々。天草宝島観光協会のサイトを見ながら「宝島って何だろう、ワクワクするね」と子どもたちと話したこともあったそうです。虫が苦手で「山」よりも「海」に近い場所を希望したものの「実際に住んでみたら家の中にフナムシやカニがいてびっくり。今はもう慣れましたけどね」と、三穂さんは笑います。

現在の住まいは天草市高浜北地区。家から歩いてすぐの場所にウミガメの産卵場所として有名な白鶴浜海水浴場があります。1階は食堂で2階は休憩所だった海の家が住居です。食堂の食器棚をやすりで磨き、窓をリメイク。浜で拾った流木など、身近にあるものを活用しながらリノベーションしました。三穂さんのお気に入りは、広くて使い勝手が良いキッチンです。空き家改修費として上限100万円の補助、定住奨励金として20万円の補助(※1)が出る天草市はとても手厚い、と三穂さんは言います。

  1. (※1) 天草市では、空き家バンクに登録された物件を契約し、改修するときには上限100万円の補助があります。さらに定住奨励金として、これまで天草市に一度も住んだことがなく、空き家バンク制度を利用して転入し、3年以上定住することを条件として、転入後90日以内に必要書類をそろえて申請をするとさらに20万円の奨励金の支援があります。ただし、3年を経過せずに天草市を離れた場合は、経過年数に応じて補助金を返還の必要があり、3年間は住所の追跡調査が毎年実施されます。

食で体が変化、ご近所とのつながりで心も変化

自然治癒の大切さを日頃から感じている三穂さんは、免疫力が上がることで健康でいられる、それができる土地に行きたい、と移住前から考えていました。近くには薬草や無農薬の農産物が豊富で、それらを自由に家族に食べさせてあげることができます。実際に三穂さんも肌荒れの悩みから解消され、長男の小児ぜんそくも治まったそうです。

仕事はオーガニックのアロマを使ったアロマセラピーです。精油製造の機材を持つ知人に頼み、天草で採れる植物の皮や花などを原料に作っています。晩柑でつくった精油は香りがとても良いそうです。「体にも環境にも良いものが身近にあるものでできることを伝えたい」と言う三穂さん。天草各地でアロマのワークショップも行っています。

ご近所さんたちとの交流を尋ねると、天草に越してきてすぐの頃、全然知らない人から「黒沢さんでしょ」と名前を呼ばれて驚いた、と返ってきました。子どもがいることで「いつも地域に見守られている」ように感じるそうです。「顔を合わせば挨拶を交わし、そこから会話が生まれます。良くも悪くもいつも見られていますが、自分たちにとってはプラスに働いています」と言い、「早朝から散歩したり、夜遅くまでカラオケしたりと皆さん元気です」と高齢のご近所さんたちの日常を嬉しそうに話してくれました。

自分たちができること、仲間がいるからできること

ご主人はご主人で、山の仕事を手伝いに行ったり宿の庭の剪定をしたりする合間に、会合に参加したり消防団に所属したりと、地域に溶け込む日々を送っています。また、校区に子どもが少ない分、先生たちのフォローも手厚く、子どもたちの個性が大切にされる教育環境にあることも大きなポイントになっているようです。

最近では、本渡でカフェを経営する同世代の方がパイプ役になり、地元で開催される音楽イベントなどを通じて色々なつながりができているとも言います。湘南から天草市倉岳町に移住したミュージシャンのユカリシャスさんは、倉岳でオーガニックのホーリーバジル茶というハーブティーを作っています。「便利さを求めるのではなく、体に良いものを摂りたいという目的で天草に来た人々と、イベントを通じてつながっている」と三穂さんは言います。

さらに、結婚してすぐの頃、近所の人たちとお菓子づくりをする機会があり、将来の夢を聞かれ「植物で人がつながることを二人でやっていきたい」と言ったことがある、と三穂さんは振り返ります。天草に来て、それが少しずつ実現しているようで、今後はご主人と一緒に珍しい植物などを育てて販売し、緑に囲まれた暮らしを提供できたら、と考えています。自然に寄り添い、自分に正直に思うままに暮らすナチュラルな三穂さんたちは、日暮れ前の海岸の水面のように輝いて見えました。